アライブ


『君…』


砂浜に座り込む橘玲子は、拳銃を握る少年を見つめながら呟いた。


少年はそんな橘玲子にも、握りしめる拳銃の銃口を向けた。


橘玲子はそんな少年をじーっと見つめた。


『あれ?さっきみたいに叫ばないの?助け…呼ばないの?』


じーっと見つめる橘玲子に少年は尋ねた。


『うん、叫ばないし…助けも呼ばない…』


橘玲子はそっと告げた。


『どうして?怖くないの?』


少年は橘玲子を見つめながら尋ねた。


『この島に来てから“死ぬ”覚悟だけは出来てるから…』


橘玲子はそう言って静かに目を閉じた。


『そう』


少年は橘玲子に銃口を向けたまま引き金を引こうとした。


橘玲子は覚悟を決め、拳を握りしめた。




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