執事_HOLIC!
「もし…私が執事で居ることに理由があったなら、ユウ様にお会いするためでしょうか」
切れ長の瞳を艶やかに細め、さらりと言う。
「執事でなければ、ユウ様にお会いする事もありませんから…。私はユウ様のような、優しいお嬢様にお仕え出来て光栄に思います」
「あ…、ありがとう…」
そんな風に言われると思わなかったから。
執事文句だと頭で分かりつつも、嬉しい気持ちは隠せない。
はじめて、誰かに「出逢えて良かった」と言われたようで。
なんとなく気恥ずかしさに思わず麗に背を向け、「あたしも、麗が執事で良かった」とだけ伝えた。
完璧で、優しくて。
誰もが憧れる物語の王子様みたいだから。
そんなひとが、本当に存在するなんて思ってもみなかったの。