執事_HOLIC!
淹れて貰った紅茶を飲み終わり、「ありがとう」と言うと麗は「失礼します」と言ってワゴンを下げにいった。
一人になった所で、温室の階段を一気に駆け上がる。
温室の二階は、あたしのお気に入りの場所。
バルコニーに似た造りになっている二階には、コンクリートの床と、一階へ光を取り入れるために、所々強化ガラスの床が貼られているだけ。
その片隅に、あたしがお父様に内緒で拾ってきた捨て猫の住み家がある。
「ステラ、出ておいでっ」
お父様に見つかったら、ステラはきっと追い出されてしまうだろう。
ごろごろと喉元を撫で、腕にすり寄るステラを優しくあやす。
星という意味を込めて、ステラと名付けた猫は、麗がこの家にくる少し前に拾ってきた。
そして、ステラと一緒に過ごす時間があたしの一番安らげる時になった。