幼なじみ
受験中。
中学に合格した後も。
新しい生活に一生懸命の振りをしながら、あたしは、その年に一度以外は、ハヤトのことを思い出すのをやめていたような気がする。

なんとなくハヤトに。
ハヤトの家庭が崩壊していくのを見つめながら、なにもしてあげられなかった。
優しい言葉すらかけてあげられなかった自分に、引け目を感じていたんだと思う。

中学の合格祝いに買ってもらった、あたし専用の携帯に、ハヤトからのメールが来るまでは。
本当にハヤトのことを、たったひとりの幼なじみのことを。
あたしは忘れていたような気がする。
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