幼なじみ
理由はたぶん、ハヤトの人見知りを心配してのことだったんだと思う。

ハヤトのご両親が突然、ハヤトを劇団に入れると言い出したのだ。
劇団に入って、大勢の人前でパフォーマンスをすることで。
人見知りが少しでも良くなればいいと思ってのことらしかった。

ハヤト自身は、乗り気ではなかったみたいだけど。
それでも劇団での出来事を最初のうちは照れくさそうに、あたしに話してくれたりしたこともあった。

ハヤトの出演する小さな舞台も、なんどか見に行ったりもした。
一言だけのセリフや。
セリフがないときもあったり。
本当に小さな役だったけれど、ハヤトはそれなりに楽しんでいるように、あたしには見えていた。

でもそのうち、劇団に入って半年も経たないうちに、ハヤトは劇団での出来事を一切話さなくなった。

一度聞こうとしたけれど。
ハヤトはうつむいたまま、口をギュッと閉じて。
その横顔に。
あたしはなんだか、とても悪いことを聞いてしまったような感じがして。
それから劇団の話題のことは、ふたりの間ではタブーとなっていたような気がする。
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