幼なじみ
どれくらい時間が経ったのか。

あたしにはもの凄く長く、感じたのだけど。
きっと五分も、経ってなかったに違いない。

覚悟を決めたように、リーマンさんが口を開いた。
「君は、誰?どうして僕のことを?ハヤトくんが死んだって本当?」
矢継ぎ早だった。

あたしは小さくうなずいて。
「あたしはハヤトの幼なじみで、ハヤトのパソコンを見ていたらあのブログを見つけて。でもなんだかハヤトがあんなことをするなんて信じられなくて。だからその、よく名前の載っていたリーマンさんに会って、どうしてか分からないけど、色々と聞いてみたかったんです。」
精一杯の説明だった。

「ハヤトくんは、本当に亡くなって?」
あたしはもう一度、小さくうなずいた。
「そうか、中二で。かわいそうだな。残念ながら、僕が知ってることはほとんどないよ。あのブログを偶然見つけて、僕はその、そういう趣味があるというか。」
「あの、ハヤトはやっぱり、自分の下着を?」

リーマンさんはドリンクを、ストローから一口飲み込むと。
「ああ、僕がほとんど買っていた。本人には会ったことがなかったけどね。郵送とかしてもらった人もいたみたいだけど、僕は住所とか知られるのがヤでね。代理人というか、管理人さんに直接会って受け渡してもらってたんだ。」
「そう、なんですか。」
リーマンさんが迷ったように口を開いた。
「僕のこと、変態だと思う?」
「えっ?」
あたしは言葉につまった。
「そう思うよなぁ。でも自分でもどうしてこんな趣味があるのか、分からないんだ。」
どう言っていいのか、迷っていると。
「ハヤトくんとは、仲が良かったの?幼なじみだって言ってたけど。」
あたしはうなずくことも。
首を振ることも出来なかった。
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