幼なじみ
店長さんが差し出したのは、四枚の年賀状だった。
「本当は、渡したくなかったんだ。ヤキモチかな?みっともないよね、この歳になって。」

あたしはそれを受け取ると、目を通した。
四枚のうち二枚は、小六と中一のときにあたしがハヤト宛に送った、味気ない年賀状だった。

残りの二枚は。
ハヤトがあたし宛に、書いたもの?
あたしの名前と住所が表に書いてある。

「出しては、なかったみたいだけどね。」
店長さんが呟いた。

裏をめくると。

『あけおめ(もう古いかな?) 施設の生活にもやっとなれたきた なんだかとっても会いたい気分だよ でも弱気はダメだ! 去年はいろいろあったけど 今年もよろしく!』
小六のときに、ハヤトが書いた年賀状。

もう一枚を、めくってみる。
『A HAPPY NEW YEAR 中学はどこになった? オレは公立にしたよ 今年は会えるといいなぁ でも会ったらオレ泣いちゃうかも 情けね~』
中一のときに、ハヤトが書いた年賀状。

決して、カラフルなものではないけれど。
字だって、特別きれいな訳ではないけれど。
ハヤトの気持ちがつまった、大切なもの。

あたしは年賀状を大事に、胸にあてていた。
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