幼なじみ
扉が閉じるのと同時に。
持っていた年賀状に、雫が一粒、ポトリと落ちた。

雨?
天気予報では、そんなこと言ってなかったのに。
ヤだなぁ、あたし、傘、持ってない。

空を見上げれば、夕焼けの色。
雲なんか、どこにもない。

ハヤトのバカ。
あたしはもっと、一緒にいたかった。
けんかして。
笑って。
泣いて。
大人になって。
ハヤトに彼女が出来たなら、品定めもちゃんとしてあげる。
あたしに彼が出来たなら、ちゃんと紹介もしてあげる。

恋、愛、家族、友情。
そして、幼なじみ。
もっとたくさん、重ねていけるはずだったのに。

届かない気持ちが。
ため込んでいた想いにぶつかって。
まるで壊れたスピーカーのように。
声を出して、あたしは泣いた。
誰の視線も気にならなかった。

ハヤトが死んで。
初めて流した涙。
年賀状に染み込んで。
ハヤトも一緒に、泣いてくれているような気がした。

当たり前が。
当たり前じゃなくなる重さ。
軽くなることなんて、ないはずなのに。
あたしはそれを独りずっと、噛みしめていた。

<終>





~あとがき~

最後まで読んでくださって。

本当にありがとうございます^^

初投稿で。

とても緊張しました!

感謝の気持ちを込めて。

ロイぽん
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