秘密の彼氏
運転しながら、空いた手で私の頬を摘む
「ぁいたたた、ごめんなさいってば。慎ちゃんならHIROさんにスカウトしてもらえるよっ!!」
「腹立つ奴」
そんなお喋りをしてるうちに、だんだん慎ちゃんの家が近づいてくる
ってかね、おかしくないですか?!
初デートが!
記念すべき初デートが!!
ディズニーランドとかに行くのかと思いきや!!!
家ですよ?!
なんでも、人が多い場所はめんどくさいとかで・・・
この男には、彼女よりもめんどくささの方が優先されるんです
恐ろしいことです
付き合う前から結構仲が良かったせいか、初々しさがあまりない・・・
いや、別にいいんだけどね
慎ちゃんと付き合えただけでもね
この人、モテるらしいし
1人でいろいろ考えてると、もう慎ちゃんの家
私の家から、車で40分くらいの所
ふっつーのマンションです
「おい、何が、ふっつーのマンションだ!!」
「ぇ・・・聞こえてた?」
「丸聞こえだけど?」
「ぁあーごめんなさい」
「生意気な奴」
コツンと私の頭を叩き、そのまま私の頭の後ろに手を回す
車をバックする時に、助手席に手を置く人っているでしょ?
慎ちゃん、それ、するんだけど・・・
私の心臓は
バクバク バクバク
物凄くドキドキしちゃうんです
これだけのことなのにね
「ん?夢菜?車酔いでもした?」
気づかれたっ
自分でも、顔が火照ってるのが分かる
その理由に気づかれないうちにと
「なんでもないっ」
そう言って車から降りようとする
と_____
_____グイッ_____
急に腕を引き寄せられて、顔を慎ちゃんの方に向けさされる
「っっ・・・」