秘密の彼氏
「できた~!!」
「はぁ、疲れた」
「はいはい。テーブルまで持って行くから、慎ちゃんは先に座ってて」
「おー」
あのミラクルな卵焼きはオムライスにするということで、立派な料理となった
まー、ご飯は炊き始めた後だったから、白いご飯なんだけど・・・
オムライスとサラダを盛りつけてテーブルに運ぶと
「なんかさー新婚さんみたいじゃない?」
っっっ
さらっと、結構恥ずかしいことを言ってのける慎ちゃん
この人は何気なく言っているであろう言葉に、反応してしまう自分が恥ずかしい
「そっ、そんなことないし!」
嬉しいんだけど、ついつい否定してしまう
「ふんっ、夢菜は素直じゃないなー。顔に出てるくせにな」
「出てないしっ!早く食べよっ」
話をごまかしてお箸を手に取り、いただきますを言って食べ始めた
「・・・味・・・」
「・・・おう・・・」
・・・味・・・
ないんですけど?!
ミラクルな味を想像していた私は、予想外の結果に為す術もない
白ご飯×味のない卵焼き(?)
こんなにシンプルな味付けは、叶姉妹だって体験したことがないだろう
黙って席を立ち、無言でケチャップを手渡してくる慎ちゃん
いつも上から目線の慎ちゃんが、めずらしくおとなしいのが可愛くて
「慎ちゃん、かーわーいーいー」
って茶化すと
「うっせーよっ」
って、照れながら返された
そんな顔で言われたら、キュンってなるんですけど~