PURE~君想う空~
トクトクトク……。
高田先生の顔、見れなくて、膝の上に有る左手を見てた。
「着いたよ。」
前を見ると、そこは夜の海だった。
「降りようか?」
その言葉に、コクンと小さく頷いた。
離れた右手は、熱を帯びていて、自分の手じゃないみたいだった。
シートベルトを外して、ドアを開けると、心地よい風がふいていた。
月明かりに照らされた海は、波が小さくて、静まり返っていた。
大きく深呼吸をして一歩を踏み出した。