王子に姫の恋情を…
私は彼方の顔をチラッと見上げた
…やっぱり
すこぶる機嫌が悪いぃぃ!!
ムスーッとした顔で私を睨んでくる
だから…言いたくなかったんだよなぁ
彼方が嫌がることなんて言いたくないから
「で、でも!
唇が合わさっただけのような軽いキスだし
私はあんなのがファーストキスだなんて考えてないから」
必死で取り繕った言葉の中に
まさか地雷があるなんて思わずに
私はブンブンと手を横に振っていた…
それに気付いたのは
『ファーストキスの思い出なんて
俺が消してやるよ』
「えっ…ぅんー!?」
甘い甘い
そして…いつもよりかなり長い
キスの雨が降ってきた後だった