王子に姫の恋情を…
私はなるべく彼方の後ろに回って
誰ともぶつからないように
彼方とはぐれないように
ぎゅっと手を握り締めて後ろから付いて行った
彼方の手の温かさと
目の前に見える大きな背中
それだけで
とっても安心できた
「ねえ、どこに行くの?」
『…由香里は何か欲しいものある?』
背中しか見えないから
彼方が今どんな表情をしているか分からない
「うーんとね…あ、ちょっとあの店見て行っていい?」
ポップな色使いの
可愛らしい雑貨屋
『…別にいいけど…って早っ』
私は彼方の答えを聞く前に目の前にある人形を手にとっていた
「あ~こっちの方が可愛い!…だけどちょっと高いしなぁ」
超可愛い赤いリボンをつけたくまと
ちょっと高いけどそのくまより大きいサイズのくま
「どっちにしよう~…」
優柔不断とは私の性格
なかなか決められなくて
結局最後には何もかわずに出て行くパターンなのだ