王子に姫の恋情を…




私は口を押さえて


彼方は私が蹴ったわき腹を押さえている





…そして
2人で顔を見合わせて





笑った







『お前口から血が流れてすげぇことなってんだけど』


「彼方も私の血が口についてやばいことなってんだけど」




ああ

やっぱり私たちには

シリアスな雰囲気も

甘い雰囲気も似合わない






だけど

これが私たちだからそれでいいんだ







ひとしきり笑った後

「ねえ…何で彼方怒ってたの?」



彼方の突然のこの行動の理由を聞いてみることにした






『あ…えと…それは、その…』




ベッドの上で座り込んで頭を掻きながらもごもごと口ごもっているその姿は

場所ほど似合わないが

私の好きな優しい彼方だった








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