王子に姫の恋情を…
ぐいっ
彼方の胸倉を掴む
もう片方の手で彼方の頬に手を添えて…
『え……』
気がついたら
私からキスしてた
泣きそうになるのをこらえながら
胸倉から手を離してぎゅっと彼方に抱きつく
「彼方…他の子にそんなことしないでよ…」
語尾はだんだん小さくなっていって消えそうなほど小さかったけど
それと逆に彼方が離れていかないように抱きつく腕の力はだんだん強くなっていった
ヤバイ
泣いちゃう…
涙が頬を伝って落ちそうになったころ
彼方が私の背中に手を回して抱きしめてくれた
『大丈夫だから、お前以上に好きになれる奴なんているわけない』
彼方のそんな言葉が耳元で聞こえて
私は今までこらえていたものがあふれ出したように泣き出してしまった