王子に姫の恋情を…



…唇とともに
胸倉をつかんでいた腕も放すと



由香里は堰を切ったようにぽろぽろと涙をこぼし始めた




「彼方…他の子にそんなことしないでよ…」





あーヤバイ



可愛すぎる





これでも俺結構いろいろと限界が来てるんだよね

こんな顔されたら今すぐにでも俺だけのものにしてしまいたくなるじゃねえか




俺はそれをぐっとこらえて

由香里の腰に手を回して引き寄せる



『大丈夫だから、お前以上に好きになれる奴なんているわけない』





これは本心だ

そのくらい
俺は由香里にはまっている




だってそうだろ?

シンデレラの王子だってシンデレラに溺愛しているから
わざわざガラスの靴を持って探しに出かけた



…由香里が姫だったら

俺はかっこ悪い王子様




だけど

それでも王子でいたいんだよ












そんな

ロマンチックないいムードをぶち壊しにしてくれたのが



…すっかり忘れていたあいつ等だった









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