王子に姫の恋情を…
…連れて来られたのは
どこかの空き教室
屋上は夏休みの後から使用禁止になっちゃったから
ここにしたんだと思う
『…お前、そいつと何があったんだよ』
目の前に見える彼方の顔は
どこか寂しそう
でも
言ったら彼方に迷惑をかけてしまう
これは私の問題だから…
「…今は、言えない」
私は俯きながらそう言った
彼方と顔を合わせちゃうと
優しい彼方に頼ってしまいそうで
泣き出しちゃいそうで…
それに
彼方には知られたくない
中学時代の私の闇なんか
知られたら幻滅されてしまいそう
『…そんなに俺頼りないのかよ』
「違う!…そういう訳じゃない」
彼方は分かっている
私の肩が微かに震えていることを