王子に姫の恋情を…
「に、西田君…」
やっぱり
未だにこの笑顔を受け付けない
目は私から反らした
「べ、別にこれくらい手伝ってもらわなくても大丈夫だよ
それに…まだ資料室とかの場所分かんないでしょ?」
そう言ってなるべく西田君の手に触れないようにしながら
スクリーンを取り戻そうとこちら側に引っ張った
だけど
全然離れない西田君の手
『いーよ、このくらい
それに俺も早く校舎の中覚えたいし
ついでに案内してよ』
うっ…どうしよう…
断る口実が無い…
『どうせ荒木さん(奈津実の苗字)と帰るでしょ?
部活終わるまで俺に付き合ってよ』
…はぁ、しょうがない
私もいつまでも怖がってなんかいられないんだよ
苦手な物を苦手で終わらせるなんて
そこまで私は弱くなんて無いでしょ?
それに…今は…
「…分かった」
『良かったぁ…こっちきて知ってる人って少ないからさ
斉藤さんがそう言ってくれて助かったよ』
彼方と言う強い存在が
私の中にいるから…