王子に姫の恋情を…
『あの時は俺も子供で…
斉藤さんの意思も関係なく突っ走っちゃって…
今は本当に反省しているんだ』
ぽつぽつと言葉を漏らす西田君
まるで辛いことでも思い出すかのように
『あの次の日、斉藤さんに謝りたくて学校に行ったんだけど
斉藤さん来ていなくて…
来てもまわりに女子が柵を作っていて、俺近づけなくて…
ホント、今更こんな事言われてもって感じるだろうけど』
段々と近づいてくる西田君
反射で後ろが壁なのに下がろうとしてしまう私
…それを見て顔を歪める姿を見ると
心が何だかズキッと痛む
『だから…これも俺の勝手なんだけど
前みたいに普通に話して欲しいんだ
…さっきは普通に話してくれたから
友達になれるかなって思ったけど…
ごめん、怖がらせて』
私の目の前にしゃがみこんで俯く西田君
違う…
こんな顔をさせたいわけじゃない
「ねぇ…
私、もう大丈夫だから
顔上げて?」
本当は
トラウマなんて簡単に消せるものじゃない
だけど
信じてみたくなった
「…私、西田君と友達だから」