王子に姫の恋情を…
そうだよね…
こんな面倒くさい彼女なんか要らないよね
『あの「イヤだ!」
『…だから「イヤだ!聞きたくないっ!」
私は耳を押さえて
これ以上ないってくらい体を縮こまらせた
…だけどやっぱり彼方の様子が気になるから
しばらくしたら耳ほど抑える力を弱めて
音が聞き取れるようにした
聞こえてきたのは
『はぁ…』とため息をつく音
勿論私がため息を付いたわけじゃないから
これは彼方のだ
あぁ…
分かっていても辛いなぁ
涙が目尻に滲んでもうすぐで零れそうって時だった
サラッ
何かが私の頭の上を通った
いや
現在進行形で通っている
『大丈夫、俺は嫌わねぇよ
お前にどんな過去があっても、俺はお前自身を否定したりしない
…ごめんってのは、お前が嫌がってんの分かってたのに無理矢理聞き出そうとした俺が悪かったって意味
何を勘違いしてるのか俺には分かんねえけど
その…俺は…』
最初の方ははっきりと喋っていたのに
最後の方は何だかもごもごと言いにくそうに言葉を詰まらせた