一匹狼少年~ペットな彼~
解放されたアタシは重力に従って下に落ちていく。
やだ!
このままだとアタシ、怪我する!
もう怪我する覚悟で目を頑なに瞑っていると、何やら固いコンクリートにお尻がついた感じがした。
目を開けて見ると、アタシは猛犬から離れて地べたに座り込んでいた。
あ、れ?
アタシ、助かった?
「璃子ちゃん、無事で良かった!」
いつの間にか近くにいた杉田さんがアタシを抱きしめていた。
「え…ちょっ、杉田さん!」
「さっき、あの狼が璃子ちゃんのこと助けてくれたんだよ。俺、とっさで何も出来なくてごめんね?」
あの、オオカミが…?
杉田さんが優しくアタシの頭を撫でてくれる。
「い‥いえ。杉田さんは助けようとしてくれました。ありがとうございます」
アタシは杉田さんにお礼を言うと、さっきの狼が気になって道の向こうを見てみた。