一匹狼少年~ペットな彼~
さっきの狼は猛犬を倒したらしく、その場に立っていた。
あ、お礼ー…言わなきゃ。
アタシはおもむろに立ち上がって、近づこうとした。
狼でも、アタシを助けてくれたんだもん。
お礼を言わないとね…。
「あ…」
黒い毛並みの狼はアタシの方を見て、何か物言いたげに見えた。
あの淡いブルー色の瞳が何かを見透かしているような…
そんな気がした。
少し、アタシを見つめると狼はその場から走り去ってしまった。
あ…行っちゃう!
追いかけないとー‥。
何故か分からないけど、あの狼を追いかけないといけない気がした。
ガシッ。
「璃子ちゃん、どこに行くの?」
杉田さんがアタシの腕を掴んで、心配そうな顔をして言う。