一匹狼少年~ペットな彼~
まるで時が止まったかのようだった。
常盤に答えて貰うまでの時間が、とても長く感じた。
常盤はアタシに触れた手を軽く握りしめ、自分のところに戻した。
それからゆっくりとアタシの顔を見つめた。
その綺麗な淡い紅色の瞳で。
なんだか少し寂しそうに微笑んで……。
「俺は…人間じゃない‥。」
その言葉を聞いてアタシの心臓が激しくなる。
ウソー‥。
常盤は人間じゃ、ない…?
アタシはそこから石が固まったように動けないでいた。
「ごめん…璃子。」
常盤は静かに呟いた。
暗闇の中に溶け込んでいくように小さな声で。