汚れた街の汚れなき天使
ヴーヴーヴー。
胸元の携帯が振動している。
「愛美ちゃん??」
何かあったら連絡して、そう言って連絡先を教えたものの実際電話がかかってきたのは初めて……だよなぁ?
海人が目が覚めた、とかだったらいいんだが。
外回りのたまたま合間だった事もあり、近くのコンビニへと車を入れてかけなおす。
「伊藤ですけど……電話くれた??」
「愛美です。あの……昨日の話なんですけど……」
昨日の話??
あぁ、あのまりあを恨んでるって奴か。
海人じゃねーのか、ちょっと落胆しつつもわざわざ愛美ちゃんからかかってきたってのはただ事じゃないかもしれない。
シートを少し倒すと、昨日より少し明るい声に耳を傾けた。