汚れた街の汚れなき天使
「何言ってるんですか。それじゃ、まりあは!!……っ痛」
重体って何なんだよ?なんでこんなに体中痛いんだ?
「まだ無理しないこったな。全身酷い火傷を負ってる。ったりめーだろ?自分の服脱いでまりあに被せて逃げてきたらしいしな」
……記憶に無い。
だけど、きっと俺の体なんかよりキミを守りたくて。
「安心しろ。まりあちゃんは体に少し火傷を負ってるが顔は綺麗なもんだし、今日見たろ?とっくに退院してぴんぴんしてるからな」
「まりあはどこにいるんですか?それにここは何処ですか??」
その時、部屋の扉が開く。
「海人~具合はどう??」
「母さん……」
ナース姿って事はコスプレな訳もなく……そっか、母さんの病院か。
てきぱきと体温や血圧を測りじゃあまた、と去っていった。
「プロだよなぁ……」
「ベテランナースですからね」
「ちげーよ。海人がやっと目が覚めて本当は泣きたいぐらい嬉しいだろうに、ああやって普通に仕事してんだからよ」
そっか。
俺は寝てたから一瞬だけど、そりゃそうだよな。
「ところで……」
急に低くなった先輩の声に、少しだけ嫌な予感がした。