汚れた街の汚れなき天使
だけど。
そんな親でも愛しいよなぁ……俺だって残業ばっかりで家庭をめった顧みないうちの親父を嫌いになった事なんてないし。
覚えてる。
俺が目を覚ましたって聞いて……初めて?仕事が終わると一目散に来てくれたっけ。
会話なんて大してしてないけど、嬉しかったし。
「海人??どこ曲がるの???」
助手席に乗っているまりあを見ると、いつかの様に頭を抱えていた。
「母さん悪い!駅からやり直してやってくれる??」
「ごめんなさい……」
自分の家で迷うまりあが可笑しかったのか
「何度だってやり直すわよ~!!!」
何故か楽しそうな母さん。
駅へ戻り……今度は間違いなく到着した古びた家は、主を失った事なんて知らないようにひっそりとそこに佇んでいた。