汚れた街の汚れなき天使
だけど……。
ルルルルルル。
「はい、ナイトフェアリーです。え?マリアですか??あいにく予約がいっぱいでして」
勇気を出して名刺を見ながらキミの店に電話をかけたというのに。
(マジかよ?これで3連敗……)
思った以上、いや想像通りキミのファンは多いらしい。予約は当日のみって書いてあるしなぁ……。
お客としか顔を見る手段もないし。
仕事が終わってから電話をかけたのでは全然間に合わないらしい。
営業時間は昼からだろ?
俺は昼一番に電話をしてみる事に決めた。
明日こそ!!!
そう決めて仕事を終えた帰り道。
人だらけの新宿駅で俺を呼ぶ弱々しい声が耳に入った。
「か……い……と……」
振り向くとそこには啓介が一人で立っていて。
「啓介!!」
もう会わないだろうと思っていた親友。
仮に見かけたとしても声をかける権利は俺にはない。
その啓介から……話しかけられるなんて。