汚れた街の汚れなき天使




そこには書かれていたんだ。



まりあの実母、皆川佐代子さんとの約束。



20歳までは親父さんが親権を持つという約束の離婚調停が行われた。



無事に引き渡すまで、死ねない。



苦渋の選択。



自らが死んで彼女が路頭に迷う事を恐れ、まりあを働かせた。

そして……生き延びようとしたんだ。





それが良いか悪いかはこの際……もういいか。





頑固者らしかった父親の考えそうな事。





貴方の宝を奪ったのは俺ですか?


貴方をそこまで追い詰めたのは俺ですか?


だとしたら、せめて俺の手で引き合わせをさせて下さい。





もう俺は……迷わない。





< 166 / 215 >

この作品をシェア

pagetop