汚れた街の汚れなき天使
そこには書かれていたんだ。
まりあの実母、皆川佐代子さんとの約束。
20歳までは親父さんが親権を持つという約束の離婚調停が行われた。
無事に引き渡すまで、死ねない。
苦渋の選択。
自らが死んで彼女が路頭に迷う事を恐れ、まりあを働かせた。
そして……生き延びようとしたんだ。
それが良いか悪いかはこの際……もういいか。
頑固者らしかった父親の考えそうな事。
貴方の宝を奪ったのは俺ですか?
貴方をそこまで追い詰めたのは俺ですか?
だとしたら、せめて俺の手で引き合わせをさせて下さい。
もう俺は……迷わない。