汚れた街の汚れなき天使
ピチュ。
ピピピ。
鳥のさえずりで目を覚ますとまりあはよほど疲れたのか
(いや、そこまで疲れさせたつもりはなかったものの)
ぼんやりと目を開ける。
「幸せだね♪」
そう言って俺の頬にキス。そしてまた髪を梳く。
愛しい瞳で俺の髪を撫でるまりあは入院中からそうだったと聞いた。
普通だったらちょっと気恥ずかしいものだが、不思議と嫌じゃない温かな手。
「まりあ?」
「なぁに?」
満面の笑みに心を抉られながら。でも続ける。
「お母さんに会いたいか?」
「おかあさん??」
胸に手を当てて考え込み……。
「きっとここにいるよ?」
心臓をとんとんと叩いて唇を噛んだ。
知ってるくせに……なんでそんな事言うの?と言いたげな、ちょっと不満そうな顔。
「違うよ?まりあのお母さんは生きてるんだ」