汚れた街の汚れなき天使
ざわざわと人混みの中。
お土産OK。
チケットOK。
ネックレスも……OK、と。
「じゃあ……行くか」
ここから飛行機で高知へ向かう。
「これ良かったら渡してあげて?」
見送りに来てくれた眞子さんから美味しそうなお菓子を受け取ると搭乗口へ向かった。伊藤先輩はもちろん今日も仕事だ。
再来週復帰する俺のためにチームを組む計画を練ってくれたらしく、今は必死に二人分働いて貰っている。
「ばーか。桃子の出産の時にはガンガン休むから覚悟しとけよ?」
そんな言葉も、今だから愛情あっての言葉なんだって理解できる。
もちろん俺だって先輩に甘えてばっかりじゃなくてこれからは恩を返す予定だ。
いつもより可愛いツーピース(俺が今日の為に選んだ)の裾をひらひらさせながら俺達が飛行機と電車を乗り継いでその街に着いたのは数時間後だった。