汚れた街の汚れなき天使
「今日は泊まっていって下さい」
知らない土地。
特にホテルも決めてなかったし、甘える事に。
「まりあちゃん?今日は一緒のお部屋で寝てもいいかしら?」
「ん……」
まりあが振り向いたのは俺の方。
「俺?俺は一人で大丈夫だし。せっかく会えたんだから水入らずで過ごしたら?」
そう言ってやると
「じゃあ一緒に寝る!!」
まりあは……ずっと、母親に飢えていたのかもしれない。
……良かったな。会えて。
「離婚しても皆川姓を捨てなかったのは今日の日の為でした」
そう告げるまりあの母、皆川佐代子さんは今日の為に再婚もせず、ただ一人まりあの成人を待っていたんだ。