汚れた街の汚れなき天使
「この子を授かって、初めて顔をみた時天使だと思いました。だから……まりあと名付けたんです」
そう言って取り出した赤ん坊のまりあの写真。
「良い名前だと思います」
俺がそういうと佐代子さんは目を細くした。
美味しい郷土料理をふるまって頂いて、地酒を飲ませて貰って早めに床についた俺。
本当は、不安で寝付けなかったけど……出来るだけ話をさせてやりたくて引っ込んだ。
20歳より早く帰ってきた娘。
いないと思っていた母親。
幸せな再会。
夜が明けるのが何だか怖かった……。