汚れた街の汚れなき天使
「おはようございます。波多野さん」
朝ごはんまできっちり用意してもらい……佐代子さんもあまり寝ていないのか瞼が腫れている。
「何か……気を使ってもらっちゃってすみません」
この人が悪い人じゃないだけに、むしろ良い人なだけに複雑な俺。こんな事言っちゃいけないんだけど。
「ちょっとお話してもいいかしら?」
「ええ、どうぞ」
久しぶりに家庭の味噌汁。その極上美味な味噌汁をすすりながら答える。
「まりあちゃんを、こっちで学校に行かせる訳にはいかないかしら?」
やっぱり
そうですよね?
覚悟していた筈なのに……頭を鈍器で殴られたような気がした。