汚れた街の汚れなき天使



「おはようございます。波多野さん」



朝ごはんまできっちり用意してもらい……佐代子さんもあまり寝ていないのか瞼が腫れている。



「何か……気を使ってもらっちゃってすみません」



この人が悪い人じゃないだけに、むしろ良い人なだけに複雑な俺。こんな事言っちゃいけないんだけど。



「ちょっとお話してもいいかしら?」



「ええ、どうぞ」



久しぶりに家庭の味噌汁。その極上美味な味噌汁をすすりながら答える。








「まりあちゃんを、こっちで学校に行かせる訳にはいかないかしら?」







やっぱり





そうですよね?






覚悟していた筈なのに……頭を鈍器で殴られたような気がした。






< 184 / 215 >

この作品をシェア

pagetop