汚れた街の汚れなき天使



「うちにいたら家賃いらないじゃん?」



なんて実家に帰る度愛美に言われるんだけどさ、家に訪ねて来るかも……って考えたら出られないし。


それにたくさんの思い出もある。



眞子さんからもらったパジャマ。

100均で買ったカップ。

どれも捨てられないまま、俺の部屋で静かにまりあの帰りを待っている。




「連絡もしてないんでしょ??」



「そりゃあ……だって俺の声聞いたら学校行かずに泣くかもしれないし」



何か言おうとした愛美だったけど、すぐに口を閉ざす。



「あっ!アタシ今日デートだったわ。またね~」



大学を卒業した達也は持ち前の頭脳を生かして……まぁ、俺なんじゃか絶対!入れない大手企業に就職したらしく愛美の自慢の彼氏らしい。



「またな~」



幸せそうな姿に心底ほっとする。

ギャルは卒業するのかと思いきや未だに派手な見た目な愛美は現在ネイリストの卵だったりして。キラキラに目が無い愛美にはぴったりだとしみじみ思う。




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