汚れた街の汚れなき天使
盆休み……も特に用事はなく、実家に顔を出す。
とはいえ、愛美はデートだし、母さんの病院の仕事は盆なんて関係ないし、親父は出張だし……。
自分の部屋にいれば良かった。
なんて誰にも聞こえる事の無い溜息を一つ。
新聞を取り出し、コーヒーを飲みながら読み耽る俺って……寂しい奴。
慣れた、慣れた、と周囲に言うのは自分を納得させる為で、まりあ以外の女に興味を抱けない俺はただ時間の過ぎるのを待つしかない。
老人になったって、もう逢えなくたって、誰かで代用しようとは思わないだろう。
よっと伸びをしてふとカバンに目をやると……。
ん?
その時、携帯のランプが光っている事に気付いた。
誰だ??こんな連休中に。