汚れた街の汚れなき天使
何事??
そう首を傾げる事務員や、老人や、清掃員さえ振り切ってただ走った。
「どうして……こんな所に!?」
語る俺よりも突然の事にパニックらしいまりあは声すら出せない。
そこにはあどけない表情を少しだけ残し、背も伸び、すっかり大人っぽくなった……だけど間違いなく俺の彼女。
「どうしてここにいるの?」
まりあから帰ってきたのも同じ言葉。
「母さんが、昨日見かけたって……それで」
小首を傾げ考える癖は昔のまま。
「お昼休みまで待ってもらってもいい?2階の食堂で!」
別人のような流暢な話し方のまりあに驚きつつ、昼まで時間を潰す事にした。
なんだよ……悔しいぐらい綺麗になってさ。ずっとこの地にいたんだろうか?連絡が無かったって事は避けられてたんだろうか?
よぎる不安は消えない。
昼までの時間は1分が一1時間の様に長くて……だけど少しだけ安堵もする。
まさか、社会人になった姿なんて想像してなかったから。それだけでも嬉しいんだ。