汚れた街の汚れなき天使
「お待たせしました」
やけに他人行儀な言葉と共に現れたまりあは慣れた様子でコーヒーを頼む。
おいおい、コーヒー苦手じゃなかったっけ??
なんて、言いかけて4年という時間の長さを思う。ましてや当時10代で世間知らずだったまりあなんだから変わってて当たり前なんだと。
「びっくりしたよ。東京に住んでるんだと思ってた」
「俺?まだあの部屋にいるよ?今は盆休みなだけで」
東京だから……逢わないと思った???
悪い方向へ思考が走る。
……だけど。
それは思い過ごし。
音を立てずに泣くその姿は、昔のまりあと一緒。
「逢いたかったよ」
その言葉だけで……今まで一人の時間なんて無かったように吹っ飛んで行った。