汚れた街の汚れなき天使




「って事は今は見習いでこの病院に??」




「そうなの。だからまだナース服は着れないんだよ」



そう言ってエプロンを引っ張ってみせる。



最初普通の高校へ入学したものの、うちの母さんなんかに憧れて看護科のある高校を受験し直したんだとか。



そして……本当は免許を取ってから俺に逢いに来ようと思ってたんだと笑った。



「海人がカッコよくなってたから心配しちゃった」



ってそれはこっちのセリフだって。




「お母さんに憧れて来たの。ねぇ?元気でいる??」



実の母親が見つかったのに、結婚もしてない俺の親をお母さんだと未だに呼んでくれるまりあが嬉しくて。



「仕事終わったら来る??」



「いいの??」



「当たり前。まりあは俺の彼女……だろ?」



その言葉に、まりあはもう一度音の無い涙を流した。






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