汚れた街の汚れなき天使
覚えているのは……先輩が俺に言った一言。
「風俗嬢なんてのはなぁ、結局金目当てなんだよ。借金だの、ホストだの、遊ぶ金欲しさだの、理由はそれぞれだろうけどな?」
キミは……マリアは違うと叫びたかった。
でも俺は……先輩を言い負かすことが出来る程、キミの事を知らない。
「お兄さん、体売ってる子の方が好きなの??病気とかうつるかもよ??」
「アタシ達には絶対に無理だよね~??キレイな体でいたいし♪ありえない」
キャバ嬢のがキレイ??
その根拠は一体何なんだろう??
何も知らずに否定するような心が汚いヤツに何が分かるってんだ。
「お前らも金目当てだろーが」
そう言えばそうだね~♪……と作り笑顔できゃっきゃと笑う高い声が耳障りで。
「俺が何の根拠も無しに反対してると思ってるのか??」
そう言われても黙って俯いていた。