汚れた街の汚れなき天使
「お兄ちゃん遅いっ!!」
「わりー。ちょっと立て込んだ」
あの後何度かのやりとりで遊びに行く日を決め(キミは平日しか休めないから有給も申請したし)本屋でデートスポットの書かれた本を読み漁ってて迎えが遅れたなんてとても妹には言えません。
「で、今日の成果は??」
「えー全然ダメ。だってさ、みんなギャル男だし」
それは愛美がギャルだからじゃないのか??
「そんな愛美さんが最近行きたいデートスポットを30文字以内で述べてみ??」
「……何それ??……あっ、ひょっとして久々のデート???」
「久々は余計だろ?」
ごめんごめん、と巻いた髪を手で器用にくるくる直しながら笑う愛美。
その姿にキミの全く逆なストレートヘアを思い出す。
「アタシね~動物好きじゃん??カピバラさんが見たい!!」
「なんじゃそら?」
「知らないの~めっちゃ癒し系の動物!!」
「……。」
……カピバラさんだか何だか知らないけど、いいかもしれない。大人になったら動物園なんて行かないし自然と戯れるのも有りか。
というより、キミを都会の雑踏から連れ出してやりたい。
「愛美、サンキュ!」
「お土産買ってきてよ~!!」
「分かってるって」
久しぶりに服を買ってみたり、洗車したり、地図を見ながら道順をチェックしたりしてるうちにあっという間に当日。
天気は快晴。
件名:今から迎えに行きます。