汚れた街の汚れなき天使
【第3章】初めてのデート
「有給取るなんていい度胸じゃねーか!!」
先輩から来たメールはもちろん無視。
待ち合わせの駅に着いたのは……約束の時間の1時間も前。
きっとキミは毎日深夜まで働いてるから起きれないだろうけど、俺は普通に朝型ですのでばっちり7時には起床です。
そんな訳で11時に待ち合わせにしたんだけど……平日の昼間でも結構人って歩いてるのね??
おばちゃんばっかりだけど。
デートで有給なんて……でも今日の所は忘れよう。
仕事よりも大事なものって……あるよ。きっと。
車を駐車場に入れ駅前のスタバで時間を潰す。
ヤバイぐらい胸が痛くて……緊張してる姿なんて絶対に見せたくないから呼吸を整える。
幸とのデートはいつも俺が遅れてたっけ??
しっかりした幸に俺は甘えてばっかりだったね。
今度は俺が守る番。
そう決めた時、駅前できょろきょろするキミが見えたから。
夢中で走った。
清楚な白のワンピースが似合っていて……仕事を知らなかったらお嬢様にしか見えない彼女。
サラサラの髪をなびかせながらこっちを振り向いたキミは、今まで見たことのないような笑顔だった。
「待った???」
「ちょっとだけな」
いつものように……手を繋いでいいものだろうか???
いやいや、今日はお客じゃないし。
結局手は握らず、そっと寄り添って車までエスコートした。
さぁ……行くぜ!!
こんな空気の悪い都会は離れて自然を満喫するんだ!!