汚れた街の汚れなき天使
「気持ちいいね~!!」
窓を開けて手を伸ばすキミに見惚れてしまわないように、ハンドルを持ち直す。
愛美と同じ18歳とは思えないほど透き通った肌に無邪気なしぐさ。
この娘が普段あんな世界で生きてるなんて、実際に見ていてもイマイチ実感が湧かない。
「ねぇ?ドコ行くの」
「俺も初めてなんだけど動物がいて、緑もいっぱいでキレイな場所だってさ」
「へぇ~動物がいるんだ!!!」
キミがその次に吐いた言葉に……俺は固まってしまう。
「そんな場所に行くの生まれて初めてだよ」
すごいねぇ?、と呟くキミに……なんて声をかけたらいいものなのか。
いくらなんでも生まれてこの方動物園に行った事ない人間なんて……いないよなぁ?