汚れた街の汚れなき天使


君の事が、もっと知りたい。


年はいくつなの?

何処に住んでるの?

なんでこんな所にいるの?

理由があるの?



だけど、この世界を知らない俺がずかずかと土足で立ち入って聞くなんて野暮な事、出来ないよな?




ピピピ……。



時間を告げるベルが鳴る。
ベルと言えば聞えはいいが実際はどこの家庭にもあるようなただのストップウォッチ。


結局何も聞けずに君の質問にただ俺が答えるだけだった。




「何も出来なくてゴメンネ!これ名刺兼割引券なんだけど……ってもうこういう店来ないかな?」


「いやっ貰っておくよ。今日はまだまだ仕事??」


「うん♪予約が2件入ってるから」



そりゃそうだろうな?


こんなに可愛い君がたまたま空いてたなんて、ある意味奇跡だよ。




2件……2人……。


考えると更にモヤモヤする!!!



「ありがとな」




来た時と同じように手を繋いで、俺は彼女に手以外触れる事無く待合室に戻っていった。



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