汚れた街の汚れなき天使
「海人……なんで嫌って知って……」
「ん?あ、仕事の事??好きな人の事はなんでもわかるって」
「すごいねー!!」
あーもう!!にこにこするんじゃねーよっ!!本当に……キミがあんまり世間知らずなだけで、好きで働いてる奴なんてそういないんだよ?
世間には、もっともっとたくさんの仕事があってそれを選ぶ権利だって持ってるって事。俺が教えてやるからな。
よしよし、と頭を撫でると更に喜ぶ姿が子犬っぽくて心の中が暖かくなる。
きっと、口で言うほどキミを救うのは簡単じゃないだろう。
でも、今はいいんだ。
こんな暖かい時間があるから、ゆっくり、ゆっくり歩いていこうな??
気がついたら……こてんと俺の肩に頭を預けるまりあがいて、ただずっと夜景を眺めてた。
俺も知らなかったよ。
相手の為に気の利いたことを言わなきゃとか、カッコよくしてなきゃ、とか関係ないぐらい……ただ一緒にいる時間が幸せで心地いい。
これからは……こんな日々が続いていくんだって信じて疑うことも無く、次の休日にまりあの家を訪ねる約束をして、そっとキス。
そして、駅へ駆けていくキミを見送ったんだ。