汚れた街の汚れなき天使


「ただいま……」



家の中は電気も消え静まりかえっているが、玄関に置き去られた靴が愛美の存在を示している。



(ったく何やってるんだか)



コンコン。

ノックしても部屋から返事は無い。



「愛美~??入るぞ?」



別に金持ちな家じゃないし、当然鍵があるわけでもなく……するっと開かれた扉の先にはベッドにうずくまり膝を抱える愛美がいた。



今日も親の帰りは遅いらしく(ちなみに親父は俺と同じく営業で接待が多く、おふくろは夜勤で非常勤のナース)静か過ぎてなんだか切ない。



「今日デートじゃ無かったの??」



「デートだけど?ほら愛美に頼まれたカピバラさんグッズも……」



俺の言葉は遮られる。



「……誰といたの??」



「俺の好きになった子……って沙耶ちゃんが言ってたけど見たんだろ?」



「ロリコンの兄貴なんて嫌なんですけど……」



ロリって!!


確かにまりあは童顔だけど……愛美と一緒の年だけど……5歳ぐらいいいんじゃね?



別に怒る所でもないだろうに。


そんな俺の思考を止める愛美。



「ね?知ってる??あの子アタシの後輩なんだけど」



…………って、えぇっ!!!!!



まりあが、愛美の後輩!?



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