汚れた街の汚れなき天使
「初めまして。波多野と申します。突然お邪魔してすみませ……」
「何だ?お前?」
まりあは寂しそうな目で俺達を見つめていた。そこにはいつもの明るい表情は無い。
「まりあさんとお付き合いさせて頂いてます。今日はご挨拶に参りました。」
そんな俺の言葉を無視するように、まりあの父は目を反らした。
「まりあに舞い上がっちまった客ですか??こいつは……誰とも付き合わせる気はねぇ。」
「お父さんっ!!」
「お前は本当にダメな娘だよ。母さんにそっくりだ。黙ってその体を呪って働いてりゃあいいんだよ」
頭の中で何かが弾ける。
俺にはまだ……気が付かなかったんだ。
この父はまりあへ歪んではいるが愛情を持っている事に。
気が付いていれば……まりあを悲しい目に合わせなくて済んだのに。