汚れた街の汚れなき天使
「波多野さんおはようございます!」
「えっ?ああ、おはよう」
俺の家から会社まで片道1時間。
満員電車で通勤する生活も気が付いたら9ヶ月を超えていた。
「昨日は大変でしたね〜アタシもまだ眠くって……」
そう言ってあくびをする彼女はうちの会社でアルバイトをしてくれている美紀ちゃん。同じ方面だから時々こんな感じで遭遇する。
大卒で入社した俺よりも、仕事の上では2年前から頑張ってる彼女の方がホントはまだまだ先輩だったり。
えっと、美紀ちゃんは確かに終電ギリギリまで一緒にいたんたっけ??
ダメだ!
酒で記憶がところどころ抜けてるらしい。
ちなみに俺はあの後先輩に付き合わされ、更にスナックでカラオケを聞かされた後タクシーでの帰還でした……。
「あの後どっか行ったんですか??」
「どぇえええ!?」
ってこんな過敏に反応したら余計に怪しいじゃないかっ!!
「先輩にもう一件付き合わされて大変だったよ〜」
「それでまだお酒臭いんですね♪」
「嘘っマジ???」
くすくす笑う美紀ちゃんと当たり障りのない会話をしながら、俺の頭の中はマリアちゃんでいっぱいだった。
今キミは何をしているんだろう??
仕事に疲れてまだ寝てるかな?