汚れた街の汚れなき天使
「寝たか?」
「やっとね、海人君は?」
「全然ダメだな。妹さんがずっと看てるけど目が覚める気配はねーってさ」
ちっと舌打ちして新聞を破り捨てる。
【風俗店炎上 放火犯は同店従業員の父親】
【助けに入った青年は意識不明の重体】
【放火犯は病院へ運ばれるも死亡】
「俺が甘かった……まりあをあのクソ親父は愛してたんだよな?だから荷物が無い事に気が付いて……あんな事を」
「違うわ、ヒデキは間違ってなかった。たぶん弱い方だったの。だから一人になる事に耐え切れなかったんだわ」
後悔の念に襲われうつむくヒデキ。
まりあの父亡き今、真実を知るものはいない。