汚れた街の汚れなき天使




「眞子?明日あの娘連れて病院行くわ」




一瞬、もう?と言いたげな表情をした後、優しく言う。




「そう。じゃあ私も行くわ」




「いや、お前は体大事にしとけ」




ったく本当に。妊婦だってのに眞子は働きすぎる。



確かにあれからあんまり笑わなくなったまりあを思えば、何でもしてやりたくはなるけれども。


いい母親になる事は決定だな。


ま、俺様が選んだ女だから当然ちゃあ当然なんだが。




海人は母親の配慮もあり(なんせ放火された風俗店なんてマスコミの格好の餌食でちょくちょく関係ない奴がやってくるらしい)個室で静かに眠っている。


呼吸器と点滴で静かに眠るあいつの姿をみたら、泣くだろうか?




俺はまりあの気持ちの心配しかしてなかったな。




全部話してから記憶吹っ飛ばしてくれよ……なんて言えねーから。俺がなんとかしてやるから。



早く目ぇ覚ましてくれよ。




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