汚れた街の汚れなき天使




「海人は病院なの??」




「あぁ、でも顔見たいだろ?」




「うん!!!」




健気になぁ……家族も彼氏も失ったってのに。




隣町にある総合病院。


ナースステーションを見渡してみるも海人のおふくろさんは見当たらない。



近くにいたナースを捕まえると今日は夜勤なんだとか。



残念。息子が命懸けてまで守った彼女を見たがってたのにな。しゃーない、またの機会に。




振り返ると、胸を手で押さえつけ息苦しそうにしている。



「大丈夫か?」


「ちょっと緊張した」



その手には未だにやけどの跡がある。幸いにも顔は少しのやけどで済んだのは海人が自分のジャケットを顔にかけて救助したからだと聞いている。




まりあを救急隊員に預けた瞬間、気を失ったらしい。ったくあいつらしい。





「海人もやけどしてるから……驚くなよ?」




「うん!」



呼吸が落ち着いたのを確認して、「波多野海人様」と書かれた部屋へ静かに入った。







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